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Espace — 空間 / space

空間とは、関係の記述である。

個体群生態学者・森下正明(京都大学名誉教授)にとって、空間とは単なる面積ではなく、個体と個体のあいだに生じる距離と関係の総体でした。 エスパス百万遍・エスパス一乗寺は、その思考が営まれた土地に建ち、名を「Espace(空間)」に負っています。ここでの居住は、学びの隣に、適切な距離を置くことです。

Concept

エスパスという名は、フランス語の「空間」に由来します。ここでいう空間とは、生態学が測定してきた、個体どうしの配置のことです。

森下正明は、生物の集団がどのように空間に配置されるかを、外から与えた区画ではなく、個体そのものの並び方から読み取ろうとしました。その成果のひとつが、分布の集中度を表す指数 Iδ(森下指数)です。集団は、集中することも、散り散りになることもある。そのあいだに、その種にとって適した配置がある——森下の研究は、一貫してその「あいだ」を測る営みでした。

Morisita's Index of Dispersion

Iδ  =  q · Σn(n−1)  /  N(N−1)

Iδ < 1
一様分布
互いに距離を保ち、均等に散らばる。孤立と紙一重の秩序。
Iδ ≈ 1
ランダム分布
互いの位置が、互いを規定しない。関係のない並存。
Iδ > 1
集中分布
寄り集まる。密度が資源をめぐる競合に転じることもある。

集合住宅もまた、ひとつの分布です。エスパスが設計しようとしているのは、この三つの状態のいずれでもない配置——各自の研究時間が守られる十分な距離と、必要なときに他者と出会える十分な近さが両立する、その中間です。静かであることと、孤独であることは異なります。

Foundation

エスパス百万遍・エスパス一乗寺は、森下正明の旧所有地に建てられ、現在は一般財団法人 京都大学名誉教授森下正明研究記念財団が管理・運営しています。財団は、森下の研究業績の継承、研究紀要の発行、そして若手研究者の支援を目的として設立されました。

両者は、別々の事業ではありません。財団が学術の継承を担い、エスパスがその継承を可能にする生活の基盤を担う——ひとつの理念が、研究支援と住環境という二つの形をとっています。エスパスの賃料収益は、財団の学術活動を支える原資のひとつとなります。研究者がここに住まうことが、次の研究者を支えるという循環です。

morisita.or.jp 森下正明研究記念財団 公式サイト
森下正明(1913–1997)/京都大学名誉教授。日本の個体群生態学の礎を築き、分布の集中度指数 Iδ を提唱した。

Support

住環境が研究の質を左右することを、私たちは経験として知っています。エスパスの支援は、居室の外にも及びます。

履修と研究計画の相談

進学・履修・研究計画について、財団の関係研究者に相談する機会を設けています。所属機関の指導とは別の視点から、自身の計画を検証する場としてご利用ください。

論文執筆の支援

構成の相談、投稿先の選定、英文要旨の確認まで、執筆過程の各段階に対応します。財団の研究紀要は、若手が最初の一篇を世に問う場としても開かれています。

キャリアの相談

学術職に限らず、研究の経験をどう次に接続するか。修了後の進路について、実務と研究の双方を経験した立場から助言します。

静穏と安全

夜半まで机に向かう生活を前提とした管理を行います。オートロック、防犯カメラ、定期清掃、そして騒音に関する明確な取り決め。集中を妨げないことが、最も基本的な支援です。

Residences

いずれも京都市左京区。大学に接する近さと、大学からわずかに退いた静けさ。研究の段階に応じて、必要な距離は変わります。

Hyakumanben

エスパス百万遍

京都大学吉田キャンパスと、その周辺に集まる書店・古書店・食堂の圏内。研究室と自室の往復が、そのまま一日の動線になります。締切を抱える時期に、この近さは決定的です。

  • 所在地 京都市左京区(百万遍)
  • 間取り ワンルーム
  • 対象 学生・研究者・社会人

Ichijoji

エスパス一乗寺

叡山電鉄の沿線、東山を背にした住宅地。大学からひと駅ぶんの距離が、思考を切り替える余白になります。書店と喫茶の文化が根づき、長く腰を据えて書くための土地です。

  • 所在地 京都市左京区(一乗寺)
  • 間取り ワンルーム
  • 対象 学生・研究者・社会人

Community

エスパスの入居者は、分野も、所属も、年齢も一様ではありません。理学の院生と、社会人の研究者と、これから進学する学生とが、同じ棟に居合わせます。分野を越えた会話は、しばしば予期しない場所で起こります。

私たちは、その偶然を制度で強制しません。共用の読書空間、財団が催す小規模な研究報告会、紀要への寄稿——参加はいずれも任意です。共同体とは、集まることを義務づける仕組みではなく、集まりたいときに集まれる配置のことだと考えています。

共用の読書空間

自室以外に、もうひとつ机を持つこと。

研究報告会

財団主催。分野外の聴き手に向けて話す訓練の場。

紀要への道

最初の一篇を、査読の手続きとともに。

Contact

居室、共用部、周辺の徒歩圏まで含めてご案内します。空室状況、入居条件、学術支援の内容についても、この機会にお尋ねください。

運営
一般財団法人 京都大学名誉教授
森下正明研究記念財団
受付
平日 10:00 – 17:00

ご記入いただいた情報は、見学のご案内および入居に関するご連絡にのみ使用します。詳細はプライバシーポリシーをご確認ください。